貴ノ浪の思い出〜貴ノ浪は喉輪が弱点だった

貴ノ浪が亡くなった。夭逝。しかし貴乃花親方の絆のもとで息を引きとって少なくともそれだけは本望だったんじゃないかな。
だってあれほど兄弟子、弟弟子の関係を重んじる貴乃花親方のような関取、親方もいないでしょう。
まあそれも二子山親方の教えなんだろうけどね。
そういう意味では貴乃花親方も一門の同士が早くして亡くなるというのはさぞ無念だったことだろう。

貴ノ浪といえば若貴ブームど真ん中、全盛期の二子山部屋を引っ張る”大関貴ノ浪”。
貴乃花、若乃花、貴ノ浪、安芸乃島、貴闘力、浪之花など多くの三役力士、幕内力士など人気力士を抱えていたっけ。
197cmの上背を活かした懐の深い豪快な取り口で突き押しでも四つでもない、相手の腕を抱え込みロックし釣り出すというそれこそ貴ノ浪にしかできないなかなか見応えのある決め技だった。
同じく長身の水戸泉もたまに釣り出してはいたけどね。

まわしを取らずに腕を取るというあんな不器用な技を、芸当を相撲ファンはもちろん親方だってみすみす見逃していたわけじゃない。
当時新聞だったかな雑誌だったかな、これまでもあの不器用な取り組を改めようと取り組んだことは幾度かあったらしい。
でもなかなかそれだと貴ノ浪の力が発揮できなくって、これまで慣れ親しんだスタイルを強引に変えることで怪我という問題もあり断念していたというのを読んだことがある。

いち相撲ファンとしても貴ノ浪が四つ相撲したら曙も武蔵丸も、そしては貴乃花も投げ飛ばす最強力士なんじゃないだろうかと思っていた。
またそれを見たいと思うファンもいたと思うよ。だってあれだけいい身体してるんだからね。

そして実際に相手力士も貴ノ浪にまわしを取られたら四つ相撲させたら厄介だと思っていたんじゃないかな。
そして実際にどういうわけか、曙と武蔵丸に貴ノ浪が頭を付けてまわしを取ったことがあったんだけどあっさり寄り切ったことがあったんだよね。
それは、2人にしてみれば魁皇に右の上手を取られる以上の失態だったわけだけどそれを見ている貴ノ浪ファンとしてはやっぱり見たいわけよ貴ノ浪の四つがね。

ハワイ勢の当時横綱曙と大関武蔵丸は圧倒的なパワーの突き押しでそこまで上り詰めてきたわけだけど大関以上になるとそれが通じなくなってた。
喉輪を攻めて上体を起こそうとするんだけど若貴には押しこむことができずに通じなくてまわし取られてジ・エンド。あとはもうなにもできない。取られたまわしを切ろうとする動作も虚しくあっさり寄り切られるわけ。

そこで晩年ハワイ勢2人は四つをおぼえて若貴ともがっぷり四つで戦えるようになった。
四つをおぼえてからの曙と武蔵丸の対貴乃花は大きく差がない成績なんじゃないかな。
ちなみに四つをおぼえた晩年の武蔵丸はあの体重を活かした腕(かいな)返しが憎らしかったね。それほどの圧倒的なパワーだった。
貴乃花ですら左の腕が返されててブランブランになって、右まわしだけで取ってたからね。もちろん負けるわけだけど。

曙と武蔵丸が四つをおぼえていないと曙の引退も早かったかもしれないし、武蔵丸の横綱もどうなっていたかわからないし、お互い優勝回数にも影響したと思うよ。
それほど突っ張り、突き押しの力士はまわしを取られたらそのあと何もできないことが多かった。それどころかまわしを取ろうともしないから。

そういう意味では突っ張り、突き押しの力士は四つのド素人で生涯の練習時間は0分なんじゃないの、と思わせるくらいのデキなのよこれが。
もちろん千代大海だってそうだったし貴闘力だって寺尾だって大翔鳳だってそうだった。

でもそんなハワイ勢2人、突き押しをほとんど封印してしまった2人だけど貴ノ浪戦だけは違ってた。
そう、貴ノ浪戦は突き押し、喉輪攻めを使うわけ。
なぜかって?なぜなら貴ノ浪は首元、喉輪が弱点だったから。それも超の付くほどのね。
197cmの巨体が喉輪を攻めると簡単に上体が起きて後ろに下がって土俵の周りを逃げまわるのね。

あれはもう相撲の弱点というより、生理的に弱い部分、くすぐったいとか気持ち悪くなるとかそんなレベルの嫌がり方だった。いやホントに。

そんな憎らしいほど強くもない、不器用な取り口で、喉輪を攻められるとあっさり負けるという、そしてテレビ出演も大好きだった貴ノ浪好きになっちゃいますよね。

そして優勝について。貴乃花との同部屋優勝決定戦。貴乃花と貴ノ浪。勝ったのは貴ノ浪。同部屋の力士として幾度も貴乃花の優勝を援護射撃してきた貴ノ浪。
喉輪が弱点でまわしを取られるとかなり厄介な相手に紺色のまわしの貴乃花は真正面から突っ込みがっぷり四つになる。平成9年11月場所のこと。

そして貴ノ浪の大関陥落から引退までのある時期の彼の言葉。
怪我で十分な稽古ができていないが「まだやれているのは稽古の貯金があるからです」とこんなことを口にしていたっけ。

めちゃくちゃに厳しいをいわれていた二子山部屋の稽古。見難いから土俵上でのテーピングは基本ダメとか、最近よく見られる土俵上でのガッツポーズなどそんなことしようものなら親方にボコボコですよ、と引退した若乃花が少し前のBSの相撲番組で言ってたな。

怪我の影響で片腕で相撲を取り続け最後の取り組みになった安美錦戦に負け、引退時の会見で記者の「怪我がなければ、、」という質問に「怪我がなくても同じ結果だったと思います」と言い切った貴乃花のもとで夭折ではあるが息を引きとった貴ノ浪は後進の指導を安心して彼に託し逝ったんじゃないかな。

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